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アンビバレント:超越 / Ambivalent: Transcendence

Edition 1/5+2AP

Cambodia
Song Seakleng

All images courtesy of the artist

仏陀の後光は、永遠の宇宙における善の源である光を象徴する。誕生から死までの死のサイクルを横断しながら、光は生命を与える力であり、各宗教において「不死」や「高次の存在」と結びつけられている。また、存在と不在のサイクルを通じて、私達の日々の生活にリズムを与えるという意味を持っている。生と死のサイクルは不条理だが、宇宙が拡大し、進化し続けるために不可欠であり、そして、欲望がなくなり、善、純粋、平和、真実への渇望がなくなることが、悟りへの源なのである。

アンビバレント:マクロコスモス / Ambivalent: The Macrocosm

Sa Sa Art Projects でのアーティスト・レジデンス(2021年)において、Song Seakleng は、仏陀の光輪とヒップホップ・ミュージックを融合させ、一見異質なものの関係性を探る実験を行った。仏陀の光輪の視覚的なリズムとヒップホップ音楽のビートを合わせることで、パワーダイナミクスを刺激しながらも、精神的なつながりを得ようとする。レジデンス期間中において、仏陀の後光は神聖さの輝きを示し、ヒップホップ・ミュージックは解放と回復を体現していることを発見した。このことから、Song Seakleng は、悟りと人間の経験の間にある別のつながりを考え、それが私たちの日常生活において何を意味するのか、思考するようになった。

これらの概念に対する好奇心と探究心は、あらゆる現実と妄想を含む究極の現実に向かい、本作を通して、永遠と悟りの曖昧さを持つ宇宙に仏陀の光輪の光を幻視することになった。仏陀の後光を展開させ、顕在化させることで、永遠の宇宙における幻覚と信仰を模索するものである。それらを象徴化することで、私達は、基本的な価値観や基本原理を維持するために、現実に立ち返ることになるのだ。

アーティストについて

Song Seakleng
1997年にコンポントム州に生まれた Seakleng は、2011年にカンボジアの首都プノンペンに留学のため、移住し、2020年に王立プノンペン大学メディアマネジメント学部を卒業した。Sa Sa Art Projects でのグループ展「Possibility, Transferring and Passing」に参加し、Anti-Archive film company で制作インターンをしながら2019年に Chaktomuk Short Film Festival-Cambodian Highlight に選ばれた。2020年 Creative Generation の受賞アーティストの内の一人となった。

文責: Aura Contemporary Art Foundation / アウラ現代藝術振興財団