COLLECTIONS

こことそこ / Here and There

Edition 1/2+AP

Japan
隅 英二 / Eiji Sumi

"Here and There" by Sumi Eiji and Chol Janepraphaphan, 2018
Single-channel video, HD video, colour, sound
All images courtesy of the artists

『こことそこ』はティーター・トッターとも呼ばれるシーソーの原理を活かしたアート作品で参加者の体重総計のバランスと円形台の上の人の場所の変化によって上下に傾くようにできています。ある点での行為が別の点で影響を及ぼし、物体に回転を生じさせるような力のことを古典物理学の法則で、力のモーメント, 又は、力の能率といい,中心支点からの距離と力(重さ)の関係を表します。人の数や位置によって、バランスが限りなく上下動変化する感覚や臨界点を超える感覚を体で感じ得ることができます。

隅 英二氏のインスタレーション「こことそこ」では政治情勢、そして政治的な風景とはどうゆうものなのか探る上で遊び場が興味深い芸術対象となっています。民主主義の失われたタイの社会的・政治的歴史背景、そして世界で繰り広げられる不完全な民主主義という現代の政治的特殊性を切り口に選挙とはイデオロギーとはなにかを問いかけています。

時に、我々は同じ思想を維持し変化を考慮しませんが、この円形台のシーソー上では、時間とともに絶えず変化し、私たちは「自分がこの国を前進させる重要な人物である」と思っていても、実際には「誰か他の人がその仕事をしている」という状況を目のあたりにします。また、知らず知らずのうちに、自分自身が思っていたような古い政治的イデオロギーの上に立っていないこともあります。そしてこの円形台シーソーは形状上、右左の方向性判断がはっきりしません。いずれにせよ、自分がこの舞台上に立っていようが、他人と一緒に下でみていようが、その違いは右か左かという言説により引き起こされているだということを認識する必要があり、その違いというのは、我々がどのように物事を見るかということにかかっているのです。

2021年5月19日 隅 英二 共著者:チョル ジャネプラパパン

Sumi Eiji Here and There / Play(e)scape こことそこ 隅 英二

文責: Aura Contemporary Art Foundation / アウラ現代藝術振興財団