COLLECTIONS
Homage to Kumagusu Minakata, 2014, 紙に水彩、墨汁、柑橘の汁
All images courtesy of the artist
本作は、南方熊楠が描いた菌類の水彩図譜をイメージし、みかんの汁で濡らしたあとに炙って古い質感を出した紙に描かれたが、まるで多くが失われてしまった熊楠の菌類図譜が、作家の手により新たな物語を紡ぎ始めたようでもある。
なお、本作は文化人類学者アナ・チン著「マツタケ」の英語版、日本語版、オランダ語版の表紙原画として使用されている。
杵村 直子 / KINEMURA Naoko
1975年和歌山県田辺市生まれ。武蔵野美術大学卒業。画家。平面における空間性を探究している。世界各地で風景をその場で描き上げる「絵描ノ旅」シリーズを飛行機機内誌に連載。365日、日常を描きオンラインに公開する「日々絵」シリーズからアナ・チンの著書「マツタケ―不確定な時代を生きる術 」表紙絵に採用(プリンストン大学出版局、みすず書房)。そのほか、海と空をその場で描きあげるシリーズなど、具象と抽象のはざまを描いている。また、子どもたちの創造の可能性を研究し、子どもが生み出すアートピースとの合作も試みる。主な展示と作品に、個展「内側とかたち」(2012年、銀座ギャラリーあづま、東京)、「春を想う」(2024年、銀座ギャラリーあづま、東京)など。田辺聖公会マリア礼拝堂(和歌山県田辺市)の壁画など。
杵村 直子 / Naoko KINEMURA