COLLECTIONS
Immigrated Plants, 2021, Single channel video, 13 min 48 sec, Edition 1/5
All images courtesy of the artist, Photo by Shimoda Manabu
ベトナムの植物はどのように新しい環境で生存しているのでしょうか。なぜそれらを持ち込むことは違法なのでしょうか。なぜベトナム人にとって出生地の植物や薬草を使った食べ物/飲み物/伝統薬の匂いと味は大切なのでしょうか。その植物を持ち込んだ物語の背景にはどのような旅路があるのでしょうか。このプロジェクトは、自然と人間の力関係のあいだに生まれる対話と、それが私たちの精神と日常生活に与える影響に焦点を当てます。
今日では歴史上、ほとんどの植物が自然、風、人間、動物とともに移り住んでいる…
この惑星で大陸から大陸へ広がる植物の移動がもっとも多かったのは植民地時代でした。植民者たちは労働や地域資源を搾取することで自国にお金をもたらしました。ベトナムにおける例としては、19世紀にフランス人植民者がゴムの木、コーヒーの木、胡椒の木を持ち込み、それらを育て自国に提供しています。1944年には日本人植民者がベトナムに来て、稲を切り倒しジュート(黄麻)を育て戦争で使う火薬や軍服をつくりました。台湾ではオランダ人植民者が必要なカスタード・アップル、グラス・アップル、マンゴの木を、19世紀にはドイツが東アフリカにヨーロッパの巨大繊維工場に材料を提供する綿農園の土地を略奪しました。そして今では、多くの豊かな国は移民や旅行者があらゆる種、フルーツ、植物を持ち込むことを禁じています。
ベトナムの植物は大阪周辺のベトナム人家族から集めてきました。
Photo by Shimoda Manabu
Photo by Shimoda Manabu
トゥアン・マミ
ハノイに在住/活動し、領域横断かつ実験的な作品を発表するアーティスト。サイトスペシフィックなインスタレーション、映像、パフォーマンス、コンセプチュアルアート、省察的な問いによって意味や手法を展開させ、社会課題を調査することでつねに探索を続ける。
彼は人生に関する問い、人々の社会的相互作用、人々とその環境に関心を向け、人やものが協働して特定の現実から社会変容に関与するような再構築をおこなう。
創作者にとどまらず、彼はMACハノイ(2012)の共同創設者、ニャサン・コレクティヴの共同創設者/理事(2013から現在まで)、サンフランシスコ芸術大学客員研究員(2013)、Á Space[実験芸術空間]の共同創設者/芸術監督(2018から現在まで)を務める。