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垂直らしさ(砂上の楼閣)/ Sculpture on the Sand, 2021, frame size: 40.5 x 32.8 cm ink and oil pastel on paper unique
All images courtesy of the artist
高くあることは神的存在に近づくために繰り返されてきた試みであったが、砂漠に家を建てようとすることは愚かな試みだとある人は言った。
より良き塔を建てるために、水平/垂直を測るための技術が培われた。道具が生まれ、測量法が生まれ、人類からは垂直感覚が失われていった。そうして注意深く測られた水平や垂直でさえも、経年変化を含めた様々な理由で失われる。そもそも土地には永遠の水平は約束されていないのだし、翻って水平や垂直が失われることが物の価値を直ちに損なうことに直結するわけではない。
現代においても渡り鳥は生まれつき、自分が渡るべき方角を知っている。拠り所なしに測地するプラクティス。たとえば、直角がない四辺形、あるいは多角形にカットされた紙に水平・垂直のバランスを意識しながらドローイングを制作する。あるいは、定規や水準器を使わずに丸太を積み上げて、垂直らしい立ち位置を探る。その壁/床は平面ではないし垂直ではない。床、あるいは地面の水平がいつも変化することを忘れてはならない。日本の経緯度原点さえもある日に、約27センチ東に動いた。