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ベトナム移民の庭 (No. 3)「これらの植物は、この土地に侵入し、破壊が可能なのか?」
Tuan Mami, 2022, Duration: 10 minutes 32’’, This moving-image work used/reproduced/composed photographs from Archive Massive in Spinnerei Art Space for Leipzig International Arts Program.
All images courtesy of the artist
移民の庭 No.3(Immigrating Garden No. 3)は、ベトナム人コミュニティとともにドイツに渡り、いわゆる違法プランテーションと呼ばれるベトナム移民植物についての調査と、ライプツィヒ綿工場の歴史、すなわち、ドイツがヨーロッパの繊維会社のためにアフリカに綿花農場を拡張した19世紀ドイツの東アフリカ植民地の歴史を理解するための対話である。この2つの研究は、私たちの政治、権力、利益、社会問題などの構造におけるヒエラルキーを解き明かそうとするものである。
本映像作品は、人類の長い旅路を理解するために、アーカイブルームで移住の様々な層を再発見し、植物がどのような力を持ち、我々の歴史において、どのような重要な役割を担っているのか、ということについて思考する。また、芸術、歴史、モノ等に埋め込まれた植民地化の影響と隠匿された側面をあぶり出そうとする。
政治的な問題として、植物が、グローバルな世界をナビゲートする役者のようなものではないかと考えている。植物は、植民地化した人々、侵略者、投資家、労働者、経済移民、難民等にともに、私たちの政治や社会問題のシステムにおけるヒエラルキーの形成に積極的に関与している。過去と現在、ミクロ/マクロ的な歴史、そして、特に権力構造内部における人間同士の対話を生み出すことを目的とする。
19世紀に東アフリカで行われたドイツの綿花プランテーションの歴史に目を向けると、綿花工場がいかにして、現代のヨーロッパ発のグローバルな衣料品産業を独占したかを検討する。この視点から、「移民の庭」は、平等性、人間性、そして、政治体制への理解について問題を提起する。これらの問題の上に、戦争や気候変動等の問題が覆いかぶさっており、どのように行動すべきかということについて、思考していく。
photo credit @Felix Schmitt
トゥアン・マミ / Tuan Mami (Nguyen Anh Tuan)
経歴
1981年生まれ、ベトナム、ハノイ在住 ウェブサイト(Tuanmami.com)
Á Space(http://aea.space/)の創設者
ニャサン・コレクティブ(http://www.nhasan.org/)の共同創設者
トゥアン・マミは、サイトスペシフィック・インスタレーション、ビデオ、パフォーマンス、コンセプチュアル・アートの分野で活動する学際的・実験的なアーティストであり、常に新しいメディア、手段、方法を探求し、内省的な問いかけや社会調査によって進化を続けている。
近年は、移動を繰り返しながら、私たちがどのように「人間」であるかという概念を探求し、観察している。2014年から、マミはベトナムと世界中のベトナム人ディアスポラについて研究している。マミは、これらのコミュニティで何が起こったのか、何が残ったのか、文化的、精神的、政治的な文脈から、新しい文脈に適応し生き残ろうとする様子を観察しようとしている。
彼の焦点は、人生、人と人、人と環境との社会的相互作用についての疑問であり、特定の現実から人や物が社会的プロセスに入り込み、共に関与するような状況を再構築しようとする。
主な個展に「Protest Against Void」、「Protest Away」などがある。
「Frotest Against the Void」、 「Defibrillator Gallery, Chicago, 2013」、「24Hours Tension PØST, Los Angeles, 2013」、「In a Breath-Nothing Stands Still: in Art Rotterdam 2016」、「Factory art space, Hochiminh 2018」等、多数の個展を開催している。
「The Clouds Will Tell, Changwon Sculpture Biennale, S.Korea 2014」、「Plastic Myths", ACC Gwangju, S. Korea. 2015」、「Matter of Art、プラハビエンナーレ, Czech 2020」、「Documenta15, "Nhà Sàn Collective" Kassel, 2022」等の国際展にも多数参加している。