COLLECTIONS
来訪神たち 2, 2023, キャンバス アクリル, H180 × W140 × D20mm (F0)
The image courtesy of the artist
悪石島の来訪神ボゼを広告風に描いた。
熊本地震(2016年)の復興のシンボルとして御船町が被災地にコストコ(アメリカの倉庫型スーパー)を誘致し、2021年にそれが実現した。ホットドッグを頬張り、エルサイズのジュースを飲みながら大きすぎるショッピングカートをひく姿。熊本の田舎にアメリカの風景、アメリカの食卓が出現した。
それは地元の熊本県ではビッグニュースで、コストコは喜んで迎えられ、被災した私たちにサンタクロースがやってきたかのように恵みを与える海からやって来た来訪神に見えた。と同時に、戦後からいまだに残るアメリカとのゆがんだパワーバランスを連想させた。
御船町⻑は「復興のシンボル」という言葉を確かに使ったことに私は違和感を感じつつも、今までもスターバックスのセイレーン(キャラクター)やマクドナルドのキャラクターも来訪神だったのかもしれないと思うようになる。(彼らはまだ帰らないけど)それがもたらす恩恵を受けるとともに、無意識にアメリカ化していく風景をみて、これでいいのかというモヤモヤとした思いが私にはある。
来訪神に興味を持ったきっかけは、来訪神の文化が残る南九州に住み始めたことが大きい。ボゼ(悪石島)やメンドン(硫⻩島)などを調べていくうち野生的な美しさと彼らの暴れ回る、叩く等の凶暴な面をみると私は秘めた野生を思い出し、高揚感を感じる。彼らは内(私の一部、土着的な存在)でもあり、外(外から来た神様)でもある。また、外から渡って来た畏くも怖ろしいものを、私たちはどのように対処し共存するのかヒントがありそうで、8月に悪石島の来訪神ボゼをリサーチし、大作の平面作品を制作する予定だ。