Exhibitions

ありのままの姿で魅了 異例の裸婦画がずらり 展覧会「ザ・ビューティー・オブ・ナチュラル アート」

Myanmar

Yangon Gallery

Jan 19 - Jan 20, 2019

ヤンゴン最大規模の緑地として人々に親しまれているピープルズパーク(人民公園)の一角に、閑静な佇まいの美術館ヤンゴンギャラリーはある。緑に囲まれた同美術館で2019年1月19日~20日の2日間に渡り、裸婦をテーマにした展覧会「 ザ・ビューティー・オブ・ナチュラル アート 」が開催された。

裸婦画やヌード絵画といえば、西洋の芸術に見られるような写実的な絵画、というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。ミャンマーのアーティストが集結した同展覧会においても、キャンバスいっぱいに裸体のありのままの美しさを繊細に描いた作品が多く飾られた。

一方でハウンアウ氏のような、簡潔な線や紋様、独特な配色で抽象的に女性を表した作品もあった。また、イベントの告知カットにも使用されたトンハン氏の作品には、架空の生き物であるマーメイドが描かれている。想像上のマーメイドだが、まるでそこに存在しているかのようにリアルな姿だった。

ミャンマーにある美しさを描く

アーティストの多くがミャンマーを拠点としていることもあり、描かれているモデルの大半はミャンマー人と思われる女性だ。ミンザヤーオー氏の作品では、顔こそ見えないものの、長く伸ばした黒髪を後ろで一つに束ね、ピアスで耳を飾った女性が数枚にわたり登場する。これらは都市部や地方にかかわらず、ミャンマー人の女性に多くみられるスタイルだ。

  • 風景をそのまま抜き出したような、緻密な描写が印象的だ

さらに特徴的なミャンマーの文化を切り取ったのが、ウィンカイン氏の作品だ。オレンジで塗り潰された背景の中に後ろ姿で座り込む女性が描かれているのだが、女性はミャンマーの伝統衣装・ロンジーを身に付けている。それも、街中で見かける装束としてのロンジーではなく、水浴び用のロンジーなのだ。日本のように浴室が独立していないミャンマーでは、水浴びの際は専用のロンジーを纏った姿で体を洗う習慣があり、独自の文化を見事に芸術へと落とし込んだ一枚となっている。

  • 一面鮮やかなオレンジ色が目を引く

性別に垣根のない芸術

70点を超える作品群の中に、たった一枚だけ男性のヌードを描いた作品があった。キンゾーラット氏によるもので、精悍な体付きの男性をモノクロ調で表現した一枚である。人物を丁寧に描きながらも荒々しいタッチの背景、モノクロの色使いは、逞しさと同時に美しさを感じさせる。

男女関係に保守的なミャンマーでは、裸婦画の展覧会はまだ珍しい。テーマに影響されてなのか、閲覧者の多くは男性だった。しかし少数ながら女性の閲覧者も見かけ、中には熱心に一枚ずつ写真に収める人の姿も。また、アーティスト本人も顔を出してイベントを楽しんでいた。

Information

開催期間
2019年1月19日~20日
会 場
Yangon Gallery
People's Park Compound,Near the Planetarium Museum, Alone Road, Dagon Township, Yangon, Myanmar
電 話
09 738 27777
URL
https://theyangongallery.com/

文責: Misao Kasamatsu