Exhibitions

ミャンマーの山岳民族にアートを通して迫る 展覧会「カレンダイアリー」

Myanmar

Yangon Gallery

Feb 09 - Feb 10, 2019

ヤンゴン最大規模の緑地であり、人々の憩いの場となっているピープルズパーク(人民公園)。同園の南西に位置する美術館・ヤンゴンギャラリーで2019年2月9日~10日の2日間に渡り、ミャンマーのカレン族をテーマにした展覧会「カレンダイアリー」が開催された。

生活のひとコマを表現

 ミャンマーは130以上の部族から成り立つ多民族国家である。同展覧会はその中でも、ミャンマー東部~南部の山岳地帯を居住地とするカレン族に焦点を当てた作品を通し、彼らの文化や生活を紹介している。

 カレン族とひとくちに言っても、地域によって、その社会や文化は実に多様である。しかしながら、ソウネインチャン氏やポーサ氏が描いているように、大半のカレン族は山間の川沿いに居住し、水田耕作や漁業などで生計を立てるのだという。

また、自然に囲まれたカレン族の暮らしを描いた作品も多く見られた。ミャンマー語で「ワーロー(竹林)」と名付けられたパンキー氏の作品には、十数メートルに及ぶ高さの竹林と、カレン族らしき女性が登場する。この作品、実は2枚組となっており、1枚は春、もしくは朝方を思わせるような緑の竹林であり、もう1枚は秋や夕暮れを連想させる金色の竹林が描かれている。

  • 移り変わる季節の変遷を描く

カレンの文化と人々

 ミャンマーの民族衣装としてはロンジーが有名だが、その形状や模様は民族ごとに様々で、必ずしも巻きスカートの形をとっているとは限らない。カレン族の場合、日常ではロンジーを着用しているが、祭日など行事の際はワンピースのような独自の伝統衣装が着用される。
 ソーキョーゾー氏の作品「カレンビューティー」や「パオレディー」では、ロンジーや独自の伝統衣装を身に付けた女性らが描かれている。
 そのほか、ピューピューモウ氏は「アイラブカイン」という作品で伝統衣装のみを題材としている。

  • カインとは、ビルマ語でカレンを意味する

ジョンカイ氏の作品も特徴的だ。「トゥーホーム」、「スイートホーム」などの4枚からなるシリーズで、
どれもグレーの背景と、それに対比するかのような色鮮やかな木々と人の姿が印象に残る。人々の表情が描かれていないのも不思議だ。

国と民族を導くリーダーの姿も

ミャンマーの指導者として現在もっとも知られているのは、外務大臣を務めるアウンサンスーチー氏だろう。カレン州訪問の際に描かれたのだろうか、反政府武装組織であったカレン民族同盟のリーダーとみられる人物らとのワンシーンなど、彼女とカレン族の歴史を描いた作品もいくつか展覧されていた。

Information

開催期間
2019年2月9日~10日
会 場
Yangon Gallery
People's Park Compound, Near the Planetarium Museum, Alone Road, Dagon Township, Yangon, Myanmar
電 話
+95 9 738 27777
URL
http://theyangongallery.com

文責: Misao Kasamatsu