Exhibitions
Sa Sa Art Projects
Sep 05 - Oct 31, 2020
All images by Courtesy of Sa Sa Art Project
「Colony」展では、アーティスト Eng Rithchandaneth による魅力的な没入型大規模インスタレーション作品を紹介します。本アーティストは、Sa Sa Art Projects の展示スペース全体に広がり乗っ取る、有機的コロニーのネットワークのようなものを型作り、打ち建てました。作家は、アミニズムと組織化の政治性から引き出される、自然と人口的構造物、またその影響との緊張関係を高めます。
Eng Rithchandaneth、通称ダネはプノンペン南部近郊、バサック川、湖、農場、動物に囲まれた土地に育ちました。そこでは人間と人間でないものが共存していました。程なく、それは都市化によって劇的に変化しました。穏やかな川には砂採掘船が押し寄せました。湖は住宅やコンクリートで埋め尽くされました。動物と植物はゆっくりと消滅していました。ですがある一つの種は、レジリエンスを保ったままでした。シロアリです。
シロアリと、土地や村の周りに広がる蟻塚に衝撃を受け、ダネはそれらと人間との関係を考察しています。シロアリは人間の生息地を荒廃させることから、しばしば害虫とみなされます。ですが人々の間には、守護精神を持つとされるシロアリの塚に、神社を築くという精霊信仰の伝統があります。ある蟻塚は埋葬地の上に出来ます。希望と祈りの中で、道徳と欲望はしばしば衝突します。
シロアリは、コロニーとして成長し自身を維持するため、組織と繁殖の複雑なシステムを持った社会的昆虫です。この組織的構造はかつてより人間の社会組織にも見られるものです。
作家は、細心の注意をはらってこの展示スペースに蟻塚と巣のコロニーを作りました。これらは、張り巡らされた通路を通じて集合体として接続されています。ある最初の蟻塚が展示室を占拠し、その二次的な巣によって囲まれています。紙の張り子で作られたモノクロームの有機構造体は、生きた、広がるコンクリートのように現れます。
作家は本展覧会で新しい世界を作り、観客と出会わせます。この世界では、宇宙、スケール、物質の認識に挑戦するダネのコロニーが受け継ぐ中で、人間はそれほど重要ではないように見えます。シロアリとその有機体系の働きを想像することで、ダネは人間と人間ではないもの、そして人工的構造と非人工的構造との常に複雑な関係性を提起しているのです。
Courtesy of Sa Sa Art Projects [ Facebook ]
Eng Rithchandaneth(1993年プノンペン生まれ)は Sa Sa Art Projects で美術授業を受け、SETEC Institute にてデザイン学士号を取得しました。彼女はしばしば定期的に天然素材を使った彫刻やインスタレーション作品を制作しています。その作品は主にカンボジアにおける都市化と開発の問題を取り上げ、権力構造とその環境や国家との関係性に疑問を投げかけています。主なグループ展選出に、The Cities (2020), Treeline, Siem Reap; Currents: Phnom Penh Art & Urban Festival (2019), Phnom Penh; Forced Marriage under the Khmer Rouge (2018), Bophana Center, Phnom Penh; Kraanh Norneal, Sensing the Capital Project (2017), Sa Sa Art Projects; Poetic Topographies (2016), SA SA BASSAC; and Futurographies: Cambodia-USA-France, New York, Phnom Penh and Paris (2015-2016) など。またダネは、米国バーモント・スタジオ・センター(2015)、札幌市S-AIR(2016)のレジデント・アーティストでもあります。