Exhibitions
BANGKOK CITYCITY GALLERY
Oct 31 - Dec 27, 2020
Alex Face, Monument of Hope No.1, 2020, Pencil on paper, 76 x 56 cm © 2020 Alex Face
All images courtesy of BANGKOK CITYCITY GALLERY
BANGKOK CITYCITY GALLERY では、ストリート・アーティスト Alex Face （ Patcharapol Tangruen ）による個展を開催します。タイでの昨今のロックダウンの不安のさなかに花開いた、 新作の静物画コレクションならびに二体の大型ブロンズ像が展示されます。クロード・モネの睡蓮の風景画にインスパイアされた彼の2016年の印象主義的油彩画展「 ALIVE 」と同じく、「 MONUMENT OF HOPE 」展は厳かに絵画的伝統を纏い、今現在についての彼の詩的な解釈 ー 表面上は可愛らしく、しかし萎れた深刻さが染み込んだー を見せてくれます。
自宅待機令の期間、彼と11歳の彼の娘は静物画に取り掛かり時間を過ごしました。彼の妻が花を オーダーするとすぐ、彼はそのストリートアートのスキルと、尊敬する17世紀ドイツ絵画のクラシックな構図で作品を制作しました。家に閉じ込められ、空っぽな地区や打ち捨てられた場所に絵を描くため外出することもできず、Alex Face は謙虚な芸術性と素材の寓話的象徴性に惹きつけられました。そして彼の心を落ち着けるためにそれを利用して、思いがけなくもあり予測可能すぎもする、この惨めなアナス・ホリビリス（最悪の年）について語りはじめました。
メインギャラリーは、ヨーロッパのナショナルギャラリーでの静かで瞑想的な視覚体験を真似て います。大きな絵画ではその暗く黄昏的な背景に反して明るい花々が、Alex Face のポットのような気難しい子供の頭からはじけ出ています。花々は古来からのメメントモリ（「死を忘るなかれ」）を表しますが、この構図は、今ここにある人間の輝かしい可能性についてのヒントでもあります。万華鏡のような色とりどりの蝶とともに、たくさんの花束はそれぞれ単なる生命の儚さ 以上のものを喚起します。あるいは、それはタイの若者の創造的な精神に花咲く、新しいアイディアや変革的な考え方でしょうか？ こうした解釈の上に、Alex Faceの代名詞的な、しょげたようなキャラクター ーコンクリート、真鍮、きらめくブロンズ、縞模様のあるカッラーラ大理石で形作られたーは、もし面倒を見られも他花受粉もしなければすぐに萎れてしまう、この潜在的な意思を示しています。
鑑賞者は、ブロンズ像が迎え入れてくれる玄関ホールのような部屋を通って入場します。この明るい控えの間に響き渡るのは、生命の儚さと、すべての地上に捕らわれたもの、そして最も永久的に見える、私たちの芸術、貴重な素材、アイコンでさえあります。しかし、自身の死すべき運命に反して中年期へ突入するのと同じく、Alex Face はまた私たちの政治的条件についても言及します。三つ目でウサギのような耳をしたキャラクターは、その苦境について陰気に考え混んで台座の 端に座っています。この憂鬱な姿は、変化や輝くチャンスを待っているのかもしれません、もしくは、まさに今、落胆や幻滅から立ち去り、その記念碑としての概念に完全に見切りをつけようとしているのかもしれません。絵画に調和した、若さの輝かしい花蜜を運ぶ淡い色の蝶が遠くに飛んでいます。彫像が無作法に無くなったり倒される時代に、物憂げな39歳のアーティストは尋ねます。私たちにふさわしい英雄はどこにいるのか？彼の静物画へのさらに希望に満ちた進展を通して、彼は、私たちがまたいつの日か英雄たちを見つける場所を示そうとしてもいます。
アレックス フェイス （ ALEX FACE ）
1981年、タイ チャチューンサオ生まれ
居住・活動拠点：タイ バンコク
タイを代表とするグラフィティアーティストとして名を馳せたアレックス フェイスは、街の住人の思考を刺激するために、公共の場での制作に取り組んでいます。 彼のストリートアートは、タイの公共エリアだけでなく、海外の他の都市、たとえば東京、ソウル、台北、ジャカルタ、オスロ、アムステルダムでも無限に広がっています。彼が名声を得たのは、彼が娘の父親になり、彼女の住む世界を心配した2009年からです。アレックスは、生まれたばかりの娘マルディに触発されて、ぼろぼろのウサギのスーツを着た三つ目の赤ちゃんを制作し、街を歩く人々に、社会的に弱い立場である子どもたちの不安や憂いを共有し、人々から共感を得ました。
