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Ngo Dinh Bao Chau 個展「Towards Realist Socialization」 – a solo exhibition − Galerie Quynh

Vietnam

Galerie Quynh

Aug 14 - Oct 03, 2020

Ngo Dinh Bao Chau, Uniform – Wallpaper no. 10, 2020
Woodblock print, monoprint, stamping, stencil, acrylic, glitter, and gold leaf on cardboard, 60 x 80 cm

All images courtesy Galerie Quynh. Artworks copyright Ngo Dinh Bao Chau.

Galerie Quynh では、Ngo Dinh Bao Chau による個展「Towards Realist Socialization」(キュレーション:Arlette Quynh-Anh Tran)を開催いたします。本展覧会は Ngo の5年にわたる、象徴とイメージ、公私空間の交差、そしてその集団記憶に対する永久的影響についてのリサーチプロジェクトの集大成として、最も野心的作品をご紹介します。

「Towards Realist Socialization」展は、公的領域がいかにプライベートな領域ににじみ出ているか、つまり、モニュメントの具象性 ーそしてそれらが表す信仰がー 家や私たちの日常的なルーティン項目にどのように染み込んでいるのか、を探求します。Ngo Dinh Bao Chau による家空間の中に示されるのは、親しみと孤立との両方の空気を醸し出す、モニュメントの影やスローガンの形跡、つまり公的領域に存在している密航者の断片です。公的・私的空間の重複を探りながら、彼女のインスタレーション作品 ーそれらは家具を模していますー は、外側にある公、内側にある私、という二言説をかき乱します。「空間の外と内はともに親密である」としたガストン・バシュラールの『空間の詩学』における発言に照らして、「Towards Realist Socialization」展は内的・外的世界を、絡み合った従属関係のある空間として可視化させます。

  • Epaulette – Bench, 2020, concrete, vegetable-tanned leather cushions, wood, 51 x 190 x 85 cm

  • Lost portrait – Altar, 2020, acid-etched steel, lacquered hand-carved wood, 57 x 46 x 28 cm

モニュメントを持ち込み、ギャラリー内を家のようにしながら Ngo Dinh Bao Chau の作品たちは、プライベートでもありパブリックでもある、しかしまたそのどちらでもない空間に、自由に散らばります。作家がその曖昧な空間に形を与えると同時に、彼女は思い出します。印象的なモニュメントの崇高さが、子供時代の慣習や儀式の一部になった、ベトナムで育った記憶が引き出されるのです。作品「Uniform – Wallpaper」では、旗に敬礼する子供時代のシルエットが、繰り返し繰り返し壁紙の紙の上に木版印刷されています。それでもそれは、宿題と同じように義務づけられた苦しい行動としての敬礼です。作品「Closed eyes – Light」も同様で、その合成樹脂でできた作品は、中秋節に道や公園に溢れかえる竹ひごで覆われたグラシン紙の「đèn ông sao」(星)形ランタンに注目するように促します。疑いようもなくあからさまなその形は、シンプルなイメージの計り知れぬ力を暗に示しています。しかし私たちは繰り返しスローガンや旗、旗ざおや公共彫刻に触れているにも関わらず、そうした遍在はそれらを不可視のものにします(それらを目で見ることができない、という意味ではなく)。むしろ、それらは私たちの潜在意識下に埋め込まれ、記憶に変えられ、Ngo Dinh Bao Chau にとってのイマジネーションの燃料となるのです。

  • Uniform – Wallpaper no. 10, 2020
    Woodblock print, monoprint, stamping, stencil, acrylic, glitter, and gold leaf on cardboard, 60 x 80 cm

  • Closed eyes – Light, 2020, transparent resin, stamped copper sheets, LED lights, 57 x 52 x13 cm

展示作品は密度の高いディテールを持っています。何かを思い出す過程の気まぐれさに忠実に、またあるディテールはぼやけたり抽象的になっていき、あるディテールは気づかれない最後の土壇場で追加され、絶え間ない反復を通し、ますます鮮やかになります。「Towards Realist Socialization」展は記憶の家でありながら、現在を反映し、未来を包含する記憶の具現化です。それぞれの部屋の作品を訪れることは、空間を通じた旅や、バシュラールが「心の階段」と呼んだものの探求のように重要です ーそこは、誰もがそこに住めるよう Ngo Dinh Bao Chau が配置した、私たちの心の奥底なのです。

– キュラトリカル・アシスタント Thai Ha

  • Everything falls down, the flames go up – Twin Kitchens, 2020, in collaboration with artist Nguyen Duc Dat and architect Laurent Serpe, modelled after Margarete Schutte-Lihotzky’s Frankfurt Kitchen, cardboard, paper, imitation silver leaf, emulsion paint, L-brackets, screws, LED lights, 200 x 650 x 180 cm

  • I hold the remote in my hand, 2020, using found footage, and footage from video artworks The Remained One, 2019, Nguyen Thi Thanh Mai, and Television Commercial for Communism, 2011, The Propeller Group, single-channel video, 19 minutes 24 seconds

  • The Extracts, 2015-2020, acrylic on paper, graphite on paper, acrylic on glass, wooden frame, overall dimensions 105 x 160 cm


作家プロフィール

Ngo Dinh Bao Chau

そのキャリア初期から、Ngo Dinh Bao Chau は藁のむしろや鉄、コンクリートから、竹、とうもろこし、アオウキクサからできた「truc chi」という紙に到るまで、幅広い素材を使って活動してきました。彼女の実践はベトナムの現代生活について考察し、社会に存在する二重性や緊張に挑戦するため、オブジェやイメージを再利用します。近年の作品で Ngo Dinh Bao Chau は、集団の文化的記憶の一部であるシンボルを使い、それらを想像の家空間に配置します。そのマルチメディアなインスタレーションを通じて、作家は反復の力を考察し、公的・私的空間の曖昧さを探求しています。

Ngo Dinh Bao Chau (1986年、ドンタップ生まれ)はホーチミン市芸術大学を卒業後、国内外の様々な展覧会で作品を発表してきました。主な展覧会に、Silk of light, San Art Productions x Phuong My, Ho Chi Minh City; Block of Silence, SECC, Ho Chi Minh City; Where The Sea Remembers, The Mistake Room, Los Angeles, CA, USA; Bodies Survey(ed), San Art, Ho Chi Minh City; She, Sweet ‘Art, London, UK, travelled to Little Pink Monster Gallery, TX, USA; Body Bouquet, Welch School Galleries, Atlanta, GA, USA; Out of Nowhere, Sao La, Ho Chi Minh City; My Eldest Sister, San Art, Ho Chi Minh City など。2018年、アメリカ・ニューヨーク apexart のフェローシップに選出され、2010年には中国・昆明市 943 Studio でのアーティスト・イン・レジデンスに参加。2016年、アーティストの Cam Xanh、Lap-Xuan N. Do、Kim Duy、Dao Tung らとともに、Denmark–Vietnam Cultural Development and Exchange Fund for Open Room のグラントを受けました。

Ngo Dinh Bao Chau はフエとホーチミンにて在住・活動を行なっています。

Information

Towards Realist Socialization – a solo exhibition by Ngo Dinh Bao Chau

開催期間
2020年8月14日〜10月3日
会 場
Galerie Quynh
118 Nguyen Van Thu, Dakao, District 1, Ho Chi Minh City
電 話
+84 28 3822 7218
営業時間
10am – 7pm 火 – 土 予約制 *COVID-19 のため、開廊時間中、事前に訪問予約をしてください。
URL
http://galeriequynh.com

文責: Aura Contemporary Art Foundation / アウラ現代藝術振興財団