Exhibitions
Subhashok The Arts Centre
Aug 08 - Sep 27, 2020
All images by Courtesy of Subhashok The Arts Centre
「Wonderscape」展は、Chalood Nimsamer、Sawasdi Tantisuk、Montien Boonma、Angkarn Kalayanapong、Hem Vejakorn の5人の偉大なタイ巨匠画家による展覧会です。Subhashok The Arts Centre で展示される力強い作品は、Surapon Bunyapamai のコレクションから選ばれた絵画・ドローイングをはじめとする紙作品です。
「Wonderscape」展ではこれらの素晴らしい作品によって、タイ美術史における彼らの位置を浮き彫りにします。作品は彼らの方法論に基づくものでありながら、タイの現代美術構造の基礎となる運動や思考様式の先駆けとなったことに注意しなければなりません。巨匠たちがこの世を去っても、その作品は依然伝説的で、後の世代を鼓舞し、教育するために用いられています。これらの作品は、タイが近代から現代へと移行する時期に、芸術実践の転換点となるコンポジション、新しい思想、技術発展への道を開きました。
Sawasdi Tantisuk は、建築や風景を主題に描くアイコニックな水彩画技法で知られています。慎重に、しかしすばやく描かれた線は、並行して空気も描写します。形を描くために用いられるその技法は、抽象絵画における新しい形態描写法を促し、刺激を与えました。さらに Sawasdi はタイ王国国家芸術家賞にもノミネートされ、最後までアーティストとして厳しく継続的に活動しました。
Unknown,
Circa 1989, Watercolor on paper, 30x44cm
Unknown,
Circa 1989, Watercolor on paper, 53x39cm
Chalood Nimsamer は、タイの芸術教育システム、とくに構成研究、版画制作、インスタレーション芸術の再定義に貢献しました。とりわけ彼の作品は、とくに彼の娘に関する作品に見られるような線画の力強いストロークを用いています。こうしたストロークは、控えめでありながら力強く形を描きシンプルで、そしてまた Chalood の芸術に対する広範な知識を示しています。作品はあらゆる点、あらゆる筆のストローク、あらゆる線によって注意深く構成されている一方で、フレームの上から下まで、タイ文化の感覚と雰囲気を放っています。
Unknown (From Daughters series),
1994,
Gouache and charcoal on Sa paper, 75x54cm
Unknown (From Rome Drawing and Abstract Prints series),
1958,
Drawing, 50x60cm
Montien Boonma は、タイ美術界におけるミクストメディア作品制作を展開したことで知られています。彼の作品はタイ芸術を、これまで理解されてきたものとは違う形で定義づけました。そして主な実践の中で、土、ろうそく、米袋、稲藁など、貧弱と考えられてきた素材を混ぜ合わせ、芸術を通した新しいコミュニケーションの方法を編み出しました。なぜなら、この素材は、グローバリゼーションに基づいて測定・算定されるタイ農民の寿命を表すものだからです。
Unknown (From Paintings and Candles series), 1980,
Wax and charcoal on paper, 75x105cm
Sign of New Civiliazation No.3 (From A Changing World series), 1984,
Mixed techniques, 65x95cm
美術史の一端を担った Hem Vejakorn のイラストレーションを抜きに、素晴らしい風景は完成し得ません。Hem は、遠近法や解剖学的への理解などの並外れた技術を光と影の研究に活用しています。Hem は、ラーマ6世の時代にアナンタサマーコム殿の設計と装飾を任された悪名高いイタリア人画家、Carlo Rigoli から学びました。美術教育とイタリア人芸術家による西洋絵画の影響の過渡期、Hem の美術作品はとくに力強く普及しました。画家はタイの伝統的な絵画技法と西洋の絵画技法を組み合わせ、過去から現在に至るまで、地方の物語や民話、宗教物語のイラストレーション制作における原点となりました。
Unknown,
Circa 1940-1942,
Pencil and watercolor on paper, 24.5x18cm
Unknown,
Circa 1940-1942,
Pencil and watercolor on paper, 25x19cm
Angkarn Kalayanapong は、タイ文学とタイ芸術への献身で知られています。二つの創造界は Angkarn の出現によって砕かれ、彼は驚くべき才能があり、伝統的なタイ芸術を保全する実践に精通していました。また、絵画作品でのテンペラや木炭の活用にも堪能でした。そして Fua Haripitak が Angkarn の実践に非常に力強い芸術的影響を与えたにもかかわらず、彼は極めて自由に流れるようにタイの伝統様式を抽出し発展させることができ、それはタイの現代美術におけるまさに最初の様式となりました。
Unknown,
1994,
Crayon and gold leaf on paper, 50x75cm
Unknown,
1994,
Colored pencil and ink on paper, 26x18cm
「Wonderscape」とは、Surapon Bunyapamai コレクションを通じた、5人の指導者たちの英雄的な貢献と経験が技術と組み合わさった "the wondrous scape(素晴らしき風景)" に由来します。今の時代に生き、私たちが今いる場所のかつての出発点であったこのような驚異的な実践から、豊かな体験にみち、創造性を刺激する作品に立ち会える機会を得られることは大変光栄です。
— Chol Janepraphaphan