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海の生き物が織りなすハイブリッド絵画 Kenny Ng個展 “LAMINA | INK”　

The Factory Contemporary Arts Centre

Sep 28 - Nov 18, 2018

2018年9月28日〜11月18日 ベトナム・ホーチミンのThe Factory Contemporary Arts Centreにて、Kenny Ngによる個展 “LAMINA | INK” が開催されました。生き物のようなユニークなフォルムの絵画は、緻密な線と金をあしらった独特の色使いで描かれており、会場全体が水中の架空の生態系を築いているような不思議な展覧会場となりました。

海と水の要素とのつながり

“LAMINA | INK”で描かれている生き物のようなモチーフは、とあるエピソードからインスピレーションを得たことがきっかけとなっています。
以前Kenny Ngがアートの出版物のために作品を制作していた時のこと。母親が彼を呼ぶときのニックネーム“Kòi”という架空の人物を作ることにしました。日本の鯉と音が同じです。
そこで彼は、自由に物事をとらえ、水の流れのように流動的に動くことを好む魚のかたちをした自画像を作ることにしました。彼のベトナム名は、Hái Hoàngde、海の王や金の海を意味します。また、彼の家族は海に近いハイフォンや、ハノイの出身であることから、彼は自身に海と水の要素とのつながりを感じています。

インクと紙へのこだわり

Kenny Ngは、大学での学びを通して製版や製本に携わった経験から、紙という素材をとても愛しています。彼のアトリエには、創造的なプロセスを促進するために、多くの種類の紙がストックされています。そして彼は紙との調和、透明性を活かすためインクや水彩、金を使用します。

フランス植民地時代の建築

2015年にアメリカからベトナムに帰国した後、Kenny Ngはベトナム国内を中心に東南アジアの様々な場所を旅しました。特にベトナムにおけるフランス植民地時代の建築物は、彼の作品に大きな影響を与えています。建築物の構造や内部空間、彫刻などは、彼の描く海の生き物の一部として取り込まれています。

テーマ「薄層」について

Kenny Ngのアートワークにおいて見られる有機的な形とその柔らかい曲線。これは内面を保護する盾と考えることができます。人や生き物の本質は、その内側の深いところに持っている個人的な物語であるといえるでしょう。彼の描く生き物たちの薄層は、作家自身の精神をより厚くするための間接的な手段であるとともに、彼が他の人たちと分かち合いたいと考えている隠された意思を含んでいます。

主な作品

一つの建築物や歴史を内に抱いているかのような生き物たちが、美しいインクと絵の具の色彩で表現された作品を見ることができる個展でした。

作家プロフィール

Kenny Ng
1993年　ホーチミン生

Education
Visual Arts from the College of Art and Design,
Lesley University, Cambridge, Massachusetts, USA

展覧会
'Kệ - A History of NOW' (Wedeman Gallery, Newton, MA, 2017)
'Spotlight On Book Arts' (Lesley University, Cambridge, MA, 2016)
'Sheffield International Artist Book Prize' (Bank Street Arts, Sheffield, UK), 他