COLLECTIONS
Folk Tales: Once upon a time there was a country, 2023, Videos installation: three videos, straw sculptures, reading room / ビデオインスタレーション 3つの映像、藁の彫刻、資料閲覧室
All images courtesy of the artist
このアートプロジェクトは、私たちが子供時代から記憶している民話を再生し、交換することを目的にしています。民話は人間性を深め、世界の見方をよくするものとして多くの人に愛されています。ガンジーは、民話は外交業務のように国際的なコミュニケーションを担うと述べています。民話とは、世代を超え口語で世界の成り立ちや賢者の道徳や教えを伝える伝統的なお話のことです。善行は常に報われ、悪を駆逐した後も英雄たちは長く幸せに暮らし、最後には正義が打ち勝つ––しばしば民話は本当の出来事とは思われていませんが、それが生まれた文化や社会を映し出しているといえます。民話は、遠い過去の遠い場所における誰かの精神と意志を伝えるのです。
3つモニター映像と壁に投影された映像は、ビルマが植民地支配されていた時代(1824-1948)の古い写真に触発された〈知られざる人々の影〉シリーズ(2019-)をもとに制作されています。人物像のシルエットは、土地や水との深い精神的なつながりを示しています。
また資料閲覧室は、物語を伝えたり、書いたりすることができる場所として全ての人に開かれています。このプロジェクトは、1948年にオックスフォード大学が出版したビルマ人文学者のマウン・ティンアウンの『ビルマのむかしばなし』[日本語訳:新読者社/1999年]をもとに作られています。
Ref: https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.48633/page/n5/mode/1up
アウン ミャッテー / Aung Myat Htay
「共通性を見出しつつ、多様であることが私の芸術における哲学です」
ミャンマーのマンダレーに生まれ、現在はヤンゴンに住み、活動している。若い頃から父のブロンズ彫刻製作を手伝い、ACCが支援するアーティスト、あるいはインディペンダント・キュレーターとして活躍。ミャンマー文化芸術大学で学位を取得した後は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアのレジデンスにおいて芸術の学びと調査を継続させてきた。芸術の教員として、現代美術における表現の自由が持つ可能性を追求してきた。また、伝統的な形式と現代的な感覚を融合させることで、社会的なメッセージを表現している。彼は、SOCAオルタナティブ芸術ラーニングプログラムの創設者でもあり、ミャンマーの芸術界でライター、キュレーターとして知られている。