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おじいちゃんの水路は永遠に塞がれた / My Grandpa’s Route Has Been Forever Blocked

Edition 3/4+2AP

Thai
Supaparinya Sutthirat / スティラット スパパリンヤー

2-channel video and single-channel video, 2012, HD video, colour, sound, 15.49 mins, Edition 3/4+2AP
All images courtesy of the artist

アーティストのSupaparinya Sutthirat は、歴史的に水上貿易において重要な要所として使われてきたピン川を下る旅路にでる。Sutthirat の祖父の時代に存在した風景と現在の風景を比較しながら、変化する川の風景や様子を2枚のスクリーンに映し出す。1958年にプーミポン・水力ダムが建設され、風景は大きく変化することを余儀なくされた。アーティストは、過去を踏まえ、現在の問題を理解するために、視聴者を現在のピン川の旅に誘う。革新的な分割手法を用いて、川の変化がもたらした衝撃的な変化を体感するクルージングの旅へと、観るものを連れていく。

アーティスト・ステートメント

ピン川は、チーク材の輸出(シャム・ヨーロッパ間の貿易)の歴史的なルートであり、私の家族における歴史の重要な部分でもある。私の祖父母はピン川沿いに住んでいた。彼らの故郷であり、生活の場でもあった。私の母方の祖父は、かつてこのルートで貨物船の商人をしていたが、家を離れることが多かったため、その生活は私たちにとって神秘的なものであった。私は祖父のルートを辿ることを試みたが。それはタークのプーミポンダムの上流からランプーン、チェンマイまでの旅路であった。しかしながら、1958年にプミポンダムが建設され、道路網が整備されたことで、ピン川がせき止められてしまっていた。そのため、祖父の時代と私の時代の川の風景はまったく違うものになってしまっている。ピン川を旅することで、祖父が経験したことを理解すると同時に、水力発電が農村地域に与える影響など、私の時代に発生した別の問題を観察、認識することもできた。

「My Grandpa's Route has been forever blocked/おじいちゃんの水路は永遠に塞がれた」では、左側のスクリーンでは、川の源流からプミポンダムまで、小さな堰や水門、堤防が連続して配置されている様子を見ることができる。右側のスクリーンでは、その後のピン川の貯水池(プミポンダム)を利用した地元のクルーズ業者の様子が映し出されている。この巨大な湖ができたことで、広大なチーク材の森が永遠に水没してしまうことになった。

2011年には、このダムから大量の水が放出され、さらには熱帯性暴風雨も相まって、タイ中部やバンコクに壊滅的な洪水をもたらし、タイにおいて忘れることができない水災害の原因となった。

文責: Aura Contemporary Art Foundation / アウラ現代藝術振興財団