Exhibitions

水の越境者(ゾーミ)たち -メコン地域の現代アート-

Japan

船場アートサイトプロジェクト

Jul 17 - Sep 05, 2021

All images courtesy of Senba Art Project and the artists

水の越境者(ゾーミ)たち -メコン地域の現代アート-

世界20拠点で展開する国際法律事務所の共同創業者、今秋和歌山県で開催される紀南アートウィークの総合プロデューサーを務める藪本雄登氏が代表を務める「アウラ現代藝術振興財団」のコレクション展を開催します。同財団は、アジアを中心にアーティスト、キュレーター助成や展示会実施支援等の助成を行っており、同時に動画作品を中心にコレクション活動を行っています。
今回は、「水の越境者(ゾーミ)たち-メコン地域の現代アート-」というタイトルにて、アジア地域の国際展出展経験のある若手アーティストを中心としたグループ展を実施します。大阪船場とメコン流域諸国の「水」を起点に、大阪とアジアの人々に通底する共通項を発見し、大阪/アジアからグローバリゼーションや資本主義のあり方を再提示したいと考えています。
今回は、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ出展アーティストであるアリン・ルンジャーンやシンガポール・ビエンナーレ等の国際展出展アーティストのクワァイ・サムナン等のアジア地域における著名なアーティストのみならず、日本で初めて紹介される国際展出展常連組を中心とした合計10組のアーティスト/コレクティブを紹介します。また、キュレーションには、同財団の藪本を中心に、日本と東南アジアのキュレーターの混成チームである「プロダクション・ゾミア」がキュレーションを行っており、アジア地域の先端の現代アートに触れて頂く機会となっています。

【開催概要】

会期:2021年7月17日~9月5日
  (コア期間:7月17日~7月20日 ※コア期間以降毎週金・土・日・
  祝日・振替休日開館)
会場:船場エクセルビル(大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目2−11)
時間:11:00~20:00(コア期間)
  ※7月16日は11:00~18:00
  ※コア期間以降は以下の時間で開館いたします
  (最終来場時間は各開館時間の30分前まで)。
  金:16:00~19:00、土:13:00~19:00、日:13:00~19:00
  祝日/振替休日(7月22日、7月23日、8月8日、8月9日)13:00~19:00
料金:入場料1000円(17日分については会場もしくはオンラインでのカンファレンス視聴も含む)/回、カンファレンス zoom参加料:500円/回
  ※事前完全予約制(日時指定につき、ご来場時間にはご注意ください)
公式サイト URL:https://www.semba-art.site/
チケット販売URL: https://semba-art-site-pj1.peatix.com

主催:株式会社 ARTLOGUE
共催:辰野株式会社、文化芸術経済振興機構
協力:東方文化支援財団、アウラ現代藝術振興財団 他
総合プロデュース:Artport 株式会社
キュレーション:プロダクション・ゾミア
作品提供:アウラ現代藝術振興財団

【キュレーション】

プロダクション・ゾミアProducution Zomia
アウラ現代藝術振興財団が組成した匿名キュレーターチーム
「ゾミア」の世界において個人名は残らない。彼らの口頭伝承文化を踏まえて、匿名コレクティブとした。日本人キュレーター陣と有数のカンボジア人、ラオス人、ミャンマー人等のメコン流域諸国のキュレーターとから構成されているトランスナショナルな混成プロダクションである。

【出展アーティスト】

ゴック・ナウNgoc Nau
ベトナム人アーティストの彼女は、ベトナム北部山間の少数民族(キン族)を祖先に持ち、ベトナム美術大学で美術史と批評を専攻して卒業したマルチメディアアーティストである。彼女の作品は、動画、プロジェクション、ホログラム、拡張現実、コラージュ写真など多岐にわたる。Nauは、日本、香港、北アイスランド、韓国、イギリス、カナダ、シンガポール、ベトナムでの様々な展覧会やアートプロジェクトに参加している。

ポートフォリオ:Ngoc Nau - Portfolio PDF
アウラ現代藝術振興財団コレクション
 1. She Dances for Desire /彼女は欲望のために踊る
 2. Ninh Binh – Saigon / ニンビン

  • Ngoc Nau

  • She Dances for Desire, 2017

  • Ninh Binh – Saigon, 2017

アリン・ルンジャーン(Arin Rungjang)
タイ人アーティストのアリン・ルンジャーンは、歴史的な素材を巧みに利用することで知られている。複数の時代、場所、言語に渡って大きな物語と小さな物語を重ね合わせる。時間と空間を超えて、過去の出来事を引き寄せることができる事象は、アリンの調査の中心となる。彼の作品は様々なメディアを横断しており、様々なビデオやサイトスペシフィックなインスタレーションを含んでいる。出展作品の「黄金の涙滴」の主人公は、大阪出身の女性であり、タイの屋台でみる伝統菓子「トーンヨート」から、時空を超えて、欧州、アジア、日本に繋がる砂糖の広大な交易史を体感頂く。第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ出展作品、シンガポール・アート・ミュージアム収蔵作品。
 
ポートフォリオ:Arin Rungjang- Portfolio PDF
当財団コレクション:Golden Teardrop / 黄金の涙滴

  • Arin Rungjang

  • Golden Teardrop

スーリヤ・ブミポンSouliya Phoumivong
スーリヤは、ラオス出身のアニメーター、ニューメディアアーティストである。当初は画家としての教育を受けた後、ラオスで最初アーティストラン・スペースを展開した。作品はハンドメイドのクオリティーを最重要視し、近年の動画やインスタレーション作品では、撮影された映像とストップモーション・アニメーション、そして地元の粘土で作られた模型をイマジネーション豊かに組み合わせている。また、映画やアニメーションの分野で後進の指導にもあたっており、ラオス国内で精力的な活動を行っている。
ポートフォリオ:Souliya Phoumivong - Portfolio PDF
アウラ現代藝術振興財団コレクション:Flow Vol.1 / フローVol.1

  • Souliya Phoumivong

  • Flow, 2018

サ・サ・アートプロジェクトSa Sa Art Projects
ヴットと後述のサムナンとソクチャンリナの3名は、カンボジアの歴史を再評価・記憶し、内戦やクメール・ルージュ政権によって破壊された視覚的芸術実践の継続性を探求するアーティストコレクティブ「Stiev Selapak/スティープ・セラバサック」の創設メンバーである。これは2010〜11年にかけて、プノンペンに二つの非営利アートスペースを開設した。それが「Sa Sa Art Projects/サ・サ・アートプロジェクト」(2010年〜現在)であり、日々、創作実験を行うレジデンスや、クリエイティブ教育のプログラム、展示会、その他特別な共同プロジェクトを行なっている。

サ・サ・アートプロジェクト:https://www.sasaart.info/

リノ・ブーズLyno Vuth
アウラ現代藝術振興財団インタヴュー:リノ・ブーズ:カンボジアの現代アートを支えて10年

  • Lyno Vuth

クゥワイ・サムナンKhvay Samnang
カンボジア人アーティストのサムナンは、プノンペンに居住し、活動している。サムナンの学際的実践は、ユーモラスで象徴的なジェスチャーを使って、伝統的文化儀式、そして、また歴史や現在の出来事について、新しい視点を提示している。あらゆるメディアを包括する彼の作品は、植民地主義とグローバル化における人道、環境の悪化、生態影響に焦点を当てる。各作品は、地域の特異性、構造、状態に関する徹底的な調査研究に基づいて行われている。

ポートフォリオ:Khvay Samnang - Portfolio PDF
インタヴュー:行動するアーティストKhvay Samnang −−多彩なコラボレーションにみるアートのエンターテインメント化
アウラ現代藝術振興財団コレクション:
 1. Untitled, 2011 / 無題 2011年
 2. Popil / ポピル

出展作品「ポピル」は、ハウス・デア・クンストでの個展(2018年、ミュンヘン・ドイツ)に際し制作された。カンボジアの漁で使用する蔓で編まれた龍のマスクが象徴的に表われ、それを被ったクメール舞踊の踊り手が登場する。二匹の龍は愛し合い、時には対立しながら華麗に舞い踊る。英国フリーズ、バンコク・アート・ビエンナーレ出展作品。

  • Khvay Samnang

  • Popil, 2018

  • Untitled, 2011

リム・ソクチャンリナLim Sokchanlina
カンボジア人アーティストのソクチャンリナは、境界を思索し続けている。チャンリナは、写真、映像、インスタレーション、パフォーマンスを用いた、ドキュメンタリーとコンセプチュアルな実践を横断する作品を制作している。彼は世界との関係における、カンボジアの様々な社会的、政治的、地政学的、文化的、経済的、環境的変化に注意を喚起する。

ポートフォリオ:Lim Sokchanlina - Portfolio PDF
インタヴュー:リム・ソクチャンリナ – ありのままの姿を伝える 融合する現実と非現実の世界
アウラ現代藝術振興財団コレクション:
 1. LETTER TO THE SEA / 海への手紙
 2. WRAPPED FUTURE II / 包まれた未来 2

今回出展作品の「海への手紙」は、2020年のシンガポールビエンナーレの出展作品であり、海底でカンボジア人漁民の物語を読み上げる。タイとカンボジア国境の海底で声なき声を発する男がいる。彼の声は、気泡として海の全体に広がり、過去の海民達と海の精霊に届くのだろうか。

  • Lim Sokchanlina

  • LETTER TO THE SEA, 2019

  • Wrapped Future II, 2019

メッチ・チューレイ&メッチ・スレイラスMech Choulay and Mech Sereyrath
メッチ姉妹は、カンボジアのカンダル州で生まれた写真家・ビデオグラファーであり、チューレイは左目に障害を抱えている。地球上のすべての生命は、一度ダメージを受けた後に歴史を獲得し、それが生命をより美しくユニークなもの転換していく。「母なる川」は、アーティストによるパフォーマンスを取り上げた作品である。この作品では、正体不明の人物が、非常に長い赤いローブで顔と体を覆い、川の中でさまよったり、ひねったり、浮かんだりしている。それらはある時は悲しみを、またある時は不気味さを感じさせるが、季節性の破壊を引き起こす一方で、人間の行動によって苦しむ川の姿とそれほど変わらないのではないか。この人物は妊娠するまで砂を掘って食べ、大きな砂の塊の赤子が生まれる。この作品は、クメール語で出産を表す"Chhlorng Tonle" —「川を渡る」という意味 — に由来している。

ポートフォリオ:Mech Choulay and Mech Sereyrath - Portfolio PDF
アウラ現代藝術振興財団コレクション:Mother of River

  • Mech Choulay

  • Mother of River, 2020

  • Mech Sereyrath

  • Mother of River, 2020

スティラット・スパパリンヤーSupaparinya Sutthirat
スティラットは、タイのチェンマイを拠点に活動するアーティストであり、インスタレーション、オブジェ、静止画、動画など、さまざまな媒体を用いており、作品を通して、公共の情報に疑問を投げかける。最近のプロジェクトでは、歴史と人間の活動が他の人間や風景に与える影響に焦点を当てており、彼女は、アート実践を通して、表現の自由を育むことを日々追及している。今回、タイの変遷する河川や閉じられた航路に対する切ない問い提示している。

ポートフォリオ:Supaparinya Sutthirat - Portfolio PDF
アウラ現代藝術振興財団コレクション:My Grandpa’s Route Has Been Forever Blocked / おじいちゃんの水路は永遠に塞がれた

  • Supaparinya Sutthirat

  • My Grandpa’s Route Has Been Forever Blocked, 2012

Maung Dayマウン・ディ
マウン・ディは、ミャンマー出身のアーティスト、詩人、翻訳家、社会活動家である。ヤンゴンを拠点に、地域の非営利団体と協力して活動している。彼は、いくつかのアート雑誌や文芸誌の編集者でありの詩集を8冊出版している。彼の詩は国際的な雑誌に掲載されており、今回、仏教思想を基礎として、有縁世界の無常を問いかける。

ポートフォリオ:Maung Day - Portfolio PDF
インタヴュー:拡散するイメージの欠片を繋ぎ留め。詩人画家マウンデイの内なる世界
アウラ現代藝術振興財団コレクション:
 1. Bloodflowers / 血花
 2. Monument of Doubt / 疑いの象徴
 3. Kissers in the Park

  • Maung Day

  • Bloodflowers, 2018

  • Monument of Doubt, 2018

  • Kissers in the Park, 2016

サマック・コ−セムSamak Kosem
サマックは、人類学の分野で活躍しており、タイの深南部で進行中の研究において、イスラム文化やタイの深南部で、イスラム文化と人間以外のものについて研究を行っている。彼の作品は、研究から得られた部分的な真実/事実を反映させる方法論のひとつとして、写真や視覚的エスノグラフィーを通して描かれています。サマックは、イスラム教における同性愛に焦点を当て、地元や地域におけるジェンダー視点の限界を理解することで、クィア研究にも興味を持っている。

ポートフォリオ:Samak Kosem - Portfolio PDF
インタヴュー:イスラム教社会におけるマイノリティとアートワークについて
アウラ現代藝術振興財団コレクション:
 1. Sheep / 羊
 2. By the shore of the sea / 海岸線にて
 3. Ferocity / 凶暴な都市

  • Samak Kosem

  • Sheep, 2017-2018

  • By the shore of the sea, 2019

  • Ferocity, 2017

Information

水の越境者(ゾーミ)たち -メコン地域の現代アート-

開催期間
2021年7月17日~9月5日
会 場
船場エクセルビル
〒541-0056 大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目2−11
電 話
チケット販売URL: https://semba-art-site-pj1.peatix.com ※完全事前予約制
営業時間
11:00~20:00(コア期間 7月17日~7月20日) ※コア期間以降は以下の時間で開館いたします (最終来場時間は各開館時間の30分前まで)。 金:16:00~19:00 土:13:00~19:00 日:13:00~19:00 祝日/振替休日(7月22日、7月23日、8月8日、8月9日):13:00~19:00 ※コア期間以降毎週金・土・日・祝日・振替休日開館
URL
https://www.semba-art.site

文責: Aura Contemporary Art Foundation / アウラ現代藝術振興財団