COLLECTIONS

潮汐 2012-2021 / Tides 2012-2021

Edition 1/3+AP

Japan
山内 光枝 / Terue Yamauchi

潮汐 2012-2021, 2チャンネルビデオインスタレーション(HDコンバートSD映像, スマートフォン撮影HD映像, カラー, サウンド), 11分14秒, Edition 1/3+AP
All images courtesy of the artist

2面のスクリーンに向かい合う鏡面のように映し出されるのは、東南アジアから東アジアの黒潮・対馬暖流域でこれまで作者が親交を深めてきた、素潜り漁を営むひとびとである。彼らがそれぞれ拠点とする海辺で呼吸する姿が、順々に登場する。潮の満ち引きのごとく繰り返される息吹は、それぞれの海に向かって、彼方の見えない何かに向かって、互いに向かって、あるいは彼ら自身へと向かっているようである。
 
10年ほどの時空を通して発展してきた本作の原形は、済州島と福岡の海女浦から海峡を挟んで呼吸しあう二人の女性を捉えた2012年の「潮汐|ムルテ」であり、現在へと続く海と人の流動的な交わりを母胎とした表現の第一作目となったものである。およそ9年後、世界中に広まった感染症パンデミックの最中に、あらためて“呼吸”を意識するようになった作者は、移動規制により会えなくなった同時代の海人たちを想った。そして自然の摂理に身をゆだねる達人である彼らに、それぞれが呼吸する姿を身近な人に撮ってもらい、送ってほしいと依頼した。いま、それぞれの場において再び世界を呼吸すること、世界に息づくということ、この世界で息を引き継ぐということを、もう一度想像する力を届けてもらうために。


ロケーション     
・下道里、済州島(2011年 / 韓国)
・鐘崎、宗像市、福岡県(2011年 / 日本)
・沙洞里、鬱陵島(2020年 / 韓国)*ご家族による撮影
・マティーナ・アプラヤ、ダバオ(2020年 / フィリピン)*ご友人による撮影
・鴨ヶ浦、輪島市、石川県(2020年 / 日本)*ご家族による撮影
・海士町、隠岐郡、島根県(2021年 / 日本)*ご家族による撮影

文責: Aura Contemporary Art Foundation / アウラ現代藝術振興財団