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Single-channel HD video, color, sound, 4’22”, Edition 3/5+AP
All images courtesy of the artist
子供のとき、両親がよくボンコック湖に連れて行ってくれた。プノンペンでは、数少ない大きな公園のひとつであり、私たちは水の中で遊んだり、湖で育ったトロークエン(アサガオ)の広大な畑を眺めたりするのが好きであった。
空気は凉しく、たくさんの人が運動やピクニックをしたりと、リラックスしたひと時を過ごした。プノンペンには他にも湖があり、ボンタンプン湖も水生野菜の主な産地であり、ボンスヌール湖では川魚が取ることができた。当時、私の暮らす町での消費は持続可能なものと思われ、人々は自然の近くに住んでいた。
実際、プノンペン市のほとんどはかつて湖であった。
プノンペンは3つの川に挟まれた砂州に築かれ、開発前の雨季には全土が水没していた。プノンペンにはたくさんの大きな湖があり、雨季には雨水を集め、洪水を防いでいた。
都市の創設者たちは、注意深く責任感を持って土地を利用してきた。しかしながら、最近の土地埋め立ては極端なレベルに増加しており、2008年以降、ボンコック湖とその他いくつかの主要な湖沼地帯は完全に埋め立てられた。政府はこの土地(ボンコック湖)を民間の開発業者に売却し、富裕層のために高級タワーを建設する予定となっている。
この土地の過剰消費は多くの問題を引き起こしている。雨水を集める場所がどこにもなくなり、雨季の道路の氾濫がひどくなった。人々が魚や水生野菜を取ることもできなくなりつつある。魚たちも繁殖する場所を奪われ、市民たちのくつろぎの場所も無くなりつつある。
「Untitled」では、私はプノンペンの湖の破壊に対する感情を表現している。私は、水に満ちた湖に入り、バケツ一杯の砂を頭から被った。この写真を撮って以来、この問題は世界的な話題となった。
4000世帯以上の低所得世帯が、人権を無視して、強制的にボンコック湖から追い出され、私は湖畔に住んでいる多くの貧しい人々を見てショックを受けた。私が子供の頃は見かけなかった人々だ。
この街に暮らす多くの人々は、環境を守る知識もエネルギーも持っておらず、湖にゴミを捨てたり、汚い下水で野菜を育てている。
「Untitled」は、プノンペンの土地の過剰消費に対する私の回答だ。都市部の湖沼の破壊は自然環境のバランスを崩し、最も弱い立場にある人々の生活を破壊する。これらの地域は、地球規模の過剰消費の縮図といえ、問題は局所的だが、その影響は広範囲に及ぶはずだ