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6人のタイ人アーティストによる「Conflicted Visions AGAIN」 − WTF gallery

Thai

WTF gallery

Jul 02 - Aug 23, 2020

Prakit Kobkijwattana, THAILAND’S NEW NORMAL 1-6, 2020
All images by Courtesy of WTF gallery

WTF gallery では、「Conflicted Visions AGAIN」と題し、タイの6名のアーティストによるコンテンポラリー・ポリティカルアート展を開催します。

参加アーティスト:
Prakit Kobkijwattana 
Sutee Kunavichayanont 
Manit Sriwanichpoom
Pisitakun Kuantalaeng 
Jakapan Vilasineekul 
Miti Ruangkritya

キュレーター:Somrak Sila

2010年以来、タイでは政情不安がかつてないほどの公共表現を生み出し、国内のほとんどすべての人口構成がしばしば長い間抑圧されてきた懸念や不満を表明しています。タイ国民の強力な衝動に駆られて、政治的優位へ立場を押し付け、不満を伝え、彼らを自身よりも大きな何かに結びつける ーあるいはその中に自分を失うー ことによって、このことは異なる政治的イデオロギーに現れた社会の深い分裂を露呈しました。

こうした懸念、欲求、不満を自分の政治目的に利用しようとする人々によって、争いや、しばしば矛盾する道徳の定義、社会規範、愛国心、確立された権力は広められ、その結果、国家を上から下まで、草の根から知識人、社会階層の最高レベルまで分裂させ、競合する主張の不協和音が生じています。

オープンな会話を阻害したり、画一的な構造を守ろうとする状況で必然的に、タイ全土のアーティストや知識人らは、自分たちの意見を表明するための多くの戦略を模索してきました。それは、公の政策を批判し、どちらか一方のためのプロパガンダを生み出し、文化と国家の協議に疑問を呈し、大衆の思考を批評することでした。あるいは他の者は、政治面での表面的な問題には関心がなくむしろ、混乱、怒り、誇り、疑いといった、自分自身の内面的な反応を考察することに関心があります。

前回展覧会「Conflicted Visions」(2014年)について:
Conflicted Visions」展では、終わりの見えない政治的危機に刺激され、様々なメディアで活動する7人のタイ人アーティストによって、2010年から2014年にかけて新しく作られた作品を紹介しました。

タイで最も著名な写真家である Manit Sriwanichpoom は、「Obscene Mantra」シリーズで、彼の既存の写真画像の一部をプロパガンダキャンペーンとして再編成し、自身のプロパガンダのマントラを繰り返すことによって政策やパフォーマンスの失敗を隠そうとする政府の試みを批判しました。

政治的スペクトルでは異なる軸に属するにもかかわらず、Sutee Kunavichayanont と Prakit Kobkijwattana は、国家と精神性への似たような嘲笑をもって、タイ社会における表面性、偽善、混乱について批評しました ーSutee は、展覧会「Crazily Good!」の一部だった2012年の作品を、Prakit は、初のインスタレーション作品である2014年作品「Living in a pretentious world, life's gotta be pop」を出展しています。

Jakapan Vilasineekul のインスタレーション作品「Hanging in the Air/Balancing On The Rope」は、利益を得ようと画策する有力者たちの絶え間ない入れ替えに対する比喩的表現で、それは複雑で腐敗したタイの政治ゲームの核心です。

Pisitakun Kuantalaeng と Miti Ruangkritya の作品はいずれも政治的思索と、アーティストが抱く内的・外的不満が基となっています。Pisitkul は、街頭イベントを記録する手段として、また、現在の官民の混乱を理解するのに役立つ「セラピー」の手段として、ドローイングに戻りました。Miti の写真シリーズ「Thai Political No2」(2010年)と「Thai Political No3」(2011年)では、現在の政治危機における重要なプレーヤー ータクシン・チナワット、インラック・シナワトラ、アピシット・ウェーチャチーワ ー に対する人々の強い注目と強迫観念が観察されています。

最後に、学芸員には匿名のアーティストが含まれており、その作品はもともと、21世紀の最も効果的なプロパガンダツールの一つでありタイ国民に完全に受け入れられている、オンライン上のソーシャルメディアに掲載するためだけに作成されたものでした。この作品では、すべての小学生にとって最初の必須読書だった70年代タイの教科書のグラフィック形式を使用しています。子どもたちと家族と犬が住む、穏やかな太陽の光に照らされたこの本の世界を破壊することで、侵略と紛争の場面は、現在のタイ社会の機能不全状態を示す、無邪気な偽りと、敬虔な合言葉と、ヘイトスピーチとパラレルな緊張を強力に伝えています。

本展覧会は、アーティストの政治的見解や社会的批評を表現することだけを目的としたものではなく、激しく二極化したタイの社会とアートコミュニティが、騒々しい争いの本道に沿った小さな道の上にある、小さな空間での、小さな対話を、どこまで切り開けるかという試みでもあります。


アーティスト・ステイトメント:

Jakapan Vilasineekul

In The Tension, 2014

「In the Tension, 2014」は、元は2014年の展覧会「Conflicted Vision」に出展した「Sitting in the Air / Balancing, 2010」の続編です。重心と圧力中心を計算するための物理の原理を使って緊張感を作り出し、相関性のない物同士を組み合わせることで、アートによって目に見えない力を感じさせるようにしました。物体をバランスさせる引力と緊張の条件下で、挑戦と抵抗を反映する物体の意味とコンテクストが作られます。

私にとって、10年以上にわたるタイ社会の不安の蓄積が明らかになりました。われわれは、一方から権力を維持しようとする試みと、他方から権力を転覆しようとする試みとの間の、認めがたい衝突の周辺を循環してきました。バランスを維持し、緊張を高めることが難しい現状を示すこの作品を通して、私がタイ社会に持っている視覚を説明しようとしました。

Jakapan Vilasineekul
2020年6月

  • Thai shrine, ladder, rope, pulley gas tank, Height 220 cm


Manit Sriwanichpoom

Program will resume shortly, 2020

2020年3月7日 – アルジャジーラのニュースチャンネルを見ていたら、「番組はすぐに再開されます」という黒いテキストとともに急にテレビ画面が白いパネルに切り変わりました。これは、タイの人々やタイ国内の外国人がそのニュースの内容を知ることを許されなかったことを意味します。しかし、そのニュースがタイ国王と関連しているに違いないと彼らが推測するのは難しいことではありません。ラマ9世国王からラマ10世への王位継承以来、この検閲は印刷メディア、テレビ、ソーシャルメディアでより頻繁に行われてきました。2014年のクーデター後、タイが2019年の選挙で民主主義に復帰した後も、タイ国民は、外国メディアが自分たちの最愛の最高機関をどのように見ているかを知る権利をまだ持っていないのです。

  • VDO Installation art, 3 minutes


Miti Ruangkritya

THAI POLITICS no.8 (Dear Leader), 2016

「Thai Politics no.8」は、プラユット・チャンオチャ将軍のテレビ放送のスクリーンショットを含む「顔文字ステッカーブック」です。この本は子供にやさしく、家族一人ひとりが「顔文字」を使って、プラユット・チャンオチャ将軍に気持ちを伝えることができます。

「Thai Politics」は、2006年以来バンコクで初めての大規模な抗議行動から生まれた現在進行形のシリーズです。このプロジェクトでは、バンコクの異なる政治的態度を探求する一方で、写真のイメージ豊かな世界について考察します。シリーズが追加されるたびに区切りをつけることは、人々の政治的見解や行動の異なる側面だけでなく、それらがどのように捉えられ、提示されるかに対する異なるアプローチでもあります。これには、より伝統的なデジタル写真とフィルム写真(「Thai Politics」no.1, 3, 5, 6)のほか、ウェブとソーシャルメディア(「Thai Politics」 no.2, 4, 7, 8, 9)を通して見つかった画像をキュレーションしたものも含まれています。

  • Sticker book, 42 x 23.5 cm


Prakit Kobkijwattana

THAILAND’S NEW NORMAL 1-6, 2020

10年以上にわたる秘密のクーデター/権力の長期化/権利の侵害//力の搾取/自由の静止/強制された外出禁止/見過ごされている人権/捕まえられた政治難民/歪められた司法制度/仕掛けられた弾圧/沈黙させられた敵/脅迫/メディアへの干渉/阻止された批判/投獄/拉致/強制失踪

このような出来事は、これらが標準となっているタイ社会では日常的に起こりました、あるいは、我々が長く生きなければならないニュー・ノーマルです。

Prakit Kobkijwattana – Phony city, phony life. 
มิถุนายน 2563

  • Acrylic on wood


Pisitakun Kuantalaeng

ICONOCLASTOR STICKERS & Military Track down 2010, 2020

「ICONOCLASTOR」は、クリエイターと社会のさまざまな側面を、彼らが重要と思う主題に向けて提示する場です。「ICONOCLASTOR」のスペースは制約のないプロジェクトを可能にするため、「ICONOCLASTOR」自体は明確なコンセプトやスタイルを持ちません。我々はこのプロジェクトから利益を得て、今後他のプロジェクトの資金にできることを願っています。「ICONOCLASTOR STICKER」は、ステッカーを使って、歴史的・文化的場面で日々起こっている出来事やコンセプトを、他の面と同様、無制限に記録するためのプロジェクトです。


Sutee Kunavichayanont

FREEHATESPEECH, 2020

現代では、ヘイトスピーチは言論の自由によって覆われてきました。

  • (手前)Neon light, wood and steel, 34.5 x 180 x 30 cm.

Information

Conflicted Visions AGAIN

開催期間
2020年7月2日 - 8月23日
会 場
WTF Café & Gallery 
7 Sukhumvit Soi 51, Wattana, Klongton-Nua, Bangkok 10110
電 話
(66) 2 662 6246, (66) 89 926 5474
営業時間
4-10pm  Free Admission Tuesday – Sunday
URL
http://wtfbangkok.com

文責: Aura Contemporary Art Foundation / アウラ現代藝術振興財団