COLLECTIONS

アトランティスの収穫 / Harvest from Atlantis

Edition 1/5+AP

Indonesia
イルワン アーメット & ティータ サリナ / Irwan Ahmett & Tita Salina

Year: 2019, Duration: 11:38 mins, Medium: video, Edition:1/5
All images courtesy of the artist

プロジェクト説明
ジャカルタは、海に囲まれており、海からの恩恵を受けている沿岸都市である。その文化と歴史は、ポルトガル、イギリス、オランダ、日本の植民地化という海の物語と切り離せない。北部の海岸線は42kmに及び、ジャワ島南部の山々から13の川が流れる河口となっている。ジャカルタ湾には、昔から熱帯林の栄養分が海流に乗って運ばれてきたが、汚染され、今はかなり様子が変わってきている。その原因は、家庭からのゴミや工業地帯からの重金属廃棄物等による無秩序な汚染にある。ジャカルタの海岸線への依存度は極めて高く、商品へのアクセスは、世界中の群島から可能となっている。
 
このような状況に対応するため、私達は共同生活や伝統的な栽培を続けているムール貝の養殖業者と協力している。彼らの生活は破壊され、彼らの居住地は立ち退きの危機に直面しており、大規模な土地の民営化が進み、そして、腐敗した法制度によって犯罪者となった住民もいる。ムール貝はジャカルタ湾の固有種で、特に下層階級の人々にとっては肉よりも安価な代替タンパク源として街中で販売されている。ムール貝の加工は、女性や時には子供たちの収入源となっている。とりわけ、重金属汚染は、生産者と消費者にとって深刻な問題である。
 
この作品のタイトルは、ジャカルタ湾にあるとされる沈没した「失われた」都市アトランティスの神話から着想を得ている。1,000万人以上の人々が暮らすジャカルタも、地盤沈下や海面上昇のために徐々に沈みつつある。ムール貝の緑色は、森林伐採で失われつつある熱帯林の葉や木を連想させる。私達は、彼らと一緒に海の下に木を植え、収穫まで数ヶ月間、辛抱強く待ち、未来への希望と懸念の象徴とした。

文責: Aura Contemporary Art Foundation / アウラ現代藝術振興財団