NEWS/COLUMN
Curated & Written by Chum Chanveasna, Translated by AURA Art
Khvay Samnang, Popil, 2018
Digital still from the video from two-channel video, color, sound 21’59”
「移行期の世代:カンボジア現代芸術」プロジェクトでは、カンボジア・プノンペンに居住し活動する様々な世代のカンボジア人アーティストのポートフォリオ、アーティストたちがその芸術実践と作品を語るドキュメンタリー映像を紹介しています。このプロジェクトは今年、メコン現代美術振興財団が実施したカンボジアの現代美術に関する広範な初の試みです。
現在カンボジアは、約15年以上にわたって、変化する環境、開発、政治、持続可能性についての経済的、倫理的な問題について経験し、それらは地域のコミュニティと社会に影響を与えてきました。そうした変化はしばしば、ポジティブな影響とネガティブな影響を伴いながら、この興味深い移行期の時代を生き抜く現代アーティストたちの作品に、世代を超えて反映されています。
このプロジェクトは、異なる文脈、異なる視点、異なる世代のアーティスト作品を取り上げ、その変化の在り方を明らかにし、カンボジア社会の現実を紹介、体験してもらうことを目的とします。
これらのポートフォリオは、既存の作品、メディア掲載、出版物のみならず、様々な関心と芸術的表現形式とともに、変化の実践、変化の視点、芸術表現についてより多くのことを示す取り組みを紹介します。これらは、芸術における伝統、歴史、都市、環境、アイデンティティ、ヒューマニティ、政治、社会といった、いくつかの重要なテーマで形成されています。その現代的な思想は、絵画、ドローイング、ミクストメディア、写真、映像、彫刻、インスタレーション、パフォーマンスのような、伝統的、近代的、現代的なメディアを通じて表現されています。
協力アーティスト/協力者
Leang Seckon
Khvay Samnang
Lim Sokchanlina
Kong Vollak
Tith Kanitha
Chov Theanly
Neak Sophal
Pen Robit
Sao Sreymao
Eng Rithchandaneth
Khiev Kanel
Chhun Phanith
Yuto Yabumoto
Kazue Suzuki
One Asia Lawyers
1970年、カンボジアのプレイベン州生まれ。アメリカによるインドシナ半島爆撃が行われている時期に生まれ、残虐なクメール・ルージュ政権の台頭期に子供時代を過ごしました。Seckonは1996年にプノンペンのRoyal University of Fine Art(王立芸術大学)造形美術学科を、2002年に同大デザイン学科を卒業。彼の絵画とコラージュアート作品には、子供時代の思い出、歴史、現在点、個人の物語が反映されており、記録の失われたカンボジアの年代記となっています。Leng Seckonは2000年代のカンボジア現代アーティスト第一世代の一人です。彼の作品は国内外で展示されています。続きを読む>>
アーティストインタビュー:
Cambodian artist, Leang Seckon (Painting/Mixed Media)
カンボジア・プノンペンのスタジオで作品について語るLeang Seckon
Leang Seckon, Help Mother (Mekong), 2013, mixed media and collage on canvas, 150 x 150 cm. Courtesy of artist and Rossi & Rossi Gallery
Leang Seckon, The Elephant and the Pool of Blood 1, 2014, mixed media and collage on canvas, 200 x 150 cm. Courtesy of artist and Rossi & Rossi Gallery
Leang Seckon, Help Mother (Mekong), 2013, mixed media and collage on canvas, 150 x 150 cm. Courtesy of artist and Rossi & Rossi Gallery
1982年、カンボジア・スバイリエン生まれ。現在も居住し活動するカンボジア・プノンペンの王立芸術大学絵画科を卒業。Samnangの学際的実践は、ユーモラスで象徴的なジェスチャーを使って、伝統的文化儀式、そしてまた歴史や現在の出来事について、新しい視点を提示しています。あらゆるメディアを包括する彼の作品は、植民地主義とグローバル化における人道、環境の悪化、生態影響に焦点を当てます。各作品の展開は、地域の特異性、構造、状態に関する徹底的な調査研究に基づいて行われます。
カンボジアの歴史を再評価・記憶し、内戦やクメール・ルージュ政権によって破壊された視覚的芸術実践の継続性を探求するアーティストコレクティブ「Stiev Selapak」の創設メンバー。Stiev Selapakは2010〜11年にかけて、プノンペンに二つの非営利アートスペースを開設しました。「Sa Sa Art Projects」(2010年〜現在)では、創作実験を行うレジデンスや、クリエイティブ教育のプログラム、展示会、その他特別な共同プロジェクトを行なっています。「SA SA BASSAC」 (2011〜2018年)では、ギャラリー、資料センター、読書室を設置しました。
Khvay Samnangは、カンボジア国内および国際的アートシーンで最も認められた現代アーティストの一人です。続きを読む>>
アーティストインタビュー:
Cambodian artist, Khvay Samnang (Photography/Video/Performance/Sculpture/Installation)
カンボジア・プノンペンのスタジオで作品について語るKhvay Samnang
Khvay Samnang, Popil, 2018, Digital still from the video from two-channel video, color, sound 21’59”
Khvay Samnang, Untitled, 2011, Digital C-Print, 80 x 120 cm
Khvay Samnang, Preah Kunlong, 2016-2017, Digital C-Print, 80 x 120 cm
1987年、カンボジア・プレイベン州生まれ。Lim Sokchanlinaは様々な戦略を使って、写真、映像、インスタレーション、パフォーマンスを用いた、ドキュメンタリーとコンセプチュアルな実践を横断する作品を制作しています。彼は世界との関係における、カンボジアの様々な社会的、政治的、地政学的、文化的、経済的、環境的変化に注意を呼びかけます。
カンボジアの歴史を再評価・記憶し、内戦やクメール・ルージュ政権によって破壊された視覚的芸術実践の継続性を探求するアーティストコレクティブ「Stiev Selapak」の創設メンバー。Stiev Selapakは2010〜11年にかけて、プノンペンに二つの非営利アートスペースを開設しました。「Sa Sa Art Projects」(2010年〜現在)では、創作実験を行うレジデンスや、クリエイティブ教育のプログラム、展示会、その他特別な共同プロジェクトを行なっています。「SA SA BASSAC」 (2011〜2018年)では、ギャラリー、資料センター、読書室を設置しました。また彼は最近、プノンペンで初めてのパブリック・アクセスな暗室、「アナログ・プリント・ラボラトリー」の設立を支援しました。続きを読む>>
アーティストインタビュー:
Cambodian artist, Lim Sokchanlina (Photography/Video/Installation/Performance)
日本・福岡のレジデンススタジオで作品について語るLim Sokchanlina
Lim Sokchanlina, Wrapped Future II, 2017-2019, Digital C-Print, 80 x 120 cm
Lim Sokchanlina, National Road Number 5, 2015, Digital C-Print, 60 x 90 cm
Lim Sokchanlina, Rising Tonle Sap 1, 2012, Digital C-Print, 80 x 120 cm
1983年、カンボジア・プノンペン生まれ。王立芸術大学彫刻科を卒業。現在プノンペンに暮らし、カンボジア教育・青少年・スポーツ省の美術教師としても働いています。主に紙、木炭、インク、鉛筆を用いた作品を手掛ける優れた芸術家であり、また、あらゆる種類の素材を使った彫刻作品、紙とインクによるエッチングやリソグラフィ、また最近はフィルム、デジタル、スケッチによる写真作品も制作。都市の生活と建築(超高層ビル、電線、街路)、歴史と記憶に焦点を当てています。続きを読む>>
アーティストインタビュー:
Cambodian artist, Kong Vollak (Sculpture/Drawing/Photography/Installation)
カンボジア・プノンペンのスタジオで作品について語るKong Vollak
Kong Vollak, Invisible Conversation, 2017
Kong Vollak, Work Hard, 2016
Kong Vollak, The Building, 2013, Etching on paper, 23" x 17"
1987年、カンボジア・プノンペン生まれ。居住、活動するプノンペンの王立芸術大学インテリアデザイン科を卒業。Tith Kanithaは、自身の私生活や個人の経験、記憶、環境に焦点を当てる、情熱的でマルチクリエイティブなアーティストです。芸術を生み出す自由さを持ち、主に鉄線と女優を使って制作するアーティストとして知られています。最近は映画分野へ探求を広げています。
カンボジア現代美術における新進アーティストの一人であり、その作品は国内外で展示されています。続きを読む>>
Tith Kanitha
Tith Kanitha, Untitled, 2015, hand coil wire
Tith Kanitha, Guardian of Coldecygne, 2015, hand coil wire
Tith Kanitha, Linga Meditation, 2015, hand coil wire
1985年、カンボジア・バッタンバン州生まれ。Chov Theanlyは1999年より、看板画家である叔父から伝統的なドローイングと絵画を学びました。バッタンバン職業訓練センターのグラフィックデザイン科を卒業後(2007年)、プノンペンのチャムローン工科大学で法学科を卒業しました(2011年)。
彼の作品は、自身の暮らしの近くにあり、アーティストとしての自らの経験から引き出された多くのものに焦点を当て、シンプルな仕草を通じて日々の生活における物語と個人のパーソナルな熱望を伝えています。その色使いや線の使い方で、控えめでありながら優れた作品を生み出すアーティストです。続きを読む>>
アーティストインタビュー:
Cambodian artist, Chov Theanly (Painting)
カンボジア・プノンペンのスタジオで作品について語るChov Theanly
Chov Theanly, Striving 11, 2016, oil painting on canvas
Chov Theanly, Striving 6, 2016, oil painting on canvas
Chov Theanly, Surviving, 2013, oil painting on canvas
1989年、カンボジア・タケオ州生まれ。王立芸術大学グラフィックデザイン科卒業。Neak Sophalの作品は、その主題と関連するように構成されたポートレートを通して、社会の問題と、カンボジアの文化、物語、記憶、恐怖といった特異性に焦点を当てています。文化や戦争のために、いまだその内部に強い恐れを抱えるカンボジア人を演じる各キャラクターの、背後にあるアイデンティティに疑問を投げかけます。
Neak Sophalは、国内外でのワークショップ、フェスティバル、個展、グループ展に参加しています。続きを読む>>
アーティストインタビュー:
Cambodian artist, Neak Sophal (Photography)
カンボジア・プノンペンのスタジオで作品について語るNeak Sophal
Neak Sophal, Land for Sale, 2018, Digital C-Print, 60 x 90 cm
Neak Sophal, Stay in, 2011, Digital C-Print, 60 x 90 cm
Neak Sophal, Leaf, 2012, Digital C-Print, 60 x 90 cm
ペン・ロビットは1991年、カンボジアのバッタンバン州生まれ。2010年、Phare Ponleu Selpakを卒業。彼の芸術実践は主に絵画で、ときにはライブペインティングやパフォーマンスも含まれます。彼の絵画は、具象と抽象の間を往復しながら様々な技法によって描かれ、しばしば社会的現実について批評しています。続きを読む>>
アーティストインタビュー:
Cambodian artist, Pen Robit (Painting)
カンボジア・プノンペンのスタジオで作品について語るPen Robit
Pen Robit, Women Under the Light, 2010, oil on canvas
Pen Robit, Krama, 2013, enamel paint on canvas, 120 x 150 cm
Pen Robit, Thread (Blue), 2018, oil on canvas, 120 x 150 cm
Sao Sreymaoは1986年にタイ国境のサイト2難民キャンプで生まれました。2006年、バッタンバン州のPhare Ponleu Selpak's School of Visual and Applied Artsを卒業、2016年にSa Sa Art Projectsの現代アートクラスに参加。その学際的実践は、絵画、漫画、写真、デジタルドローイング、彫刻、パフォーマンスに渡ります。彼女の作品は、カンボジアの都市部や農村部コミュニティの、変わりゆく物理的・心理的風景とともに、パーソナルな表現と記憶を探求しています。彼女はまた、様々な作家とビジュアルストーリーテリングのコラボレーションを行い、多数のグラフィックノベルも出版しています。
Sylt Foundationのアーティストフェローであり、2017年、ドイツ・ジュルト島のレジデンスに滞在。カンボジア・リビング・アーツによる「ダム・ドス・グラント2018」受給者でもあります。続きを読む>>
アーティストインタビュー:
Cambodian artist, Sao Sreymao (Comic/Digital Drawing/Performance/Installation)
カンボジア・プノンペンのスタジオで作品について語るSreymao
Sao Sreymao, Left Over, 2017, Digital C-Print, 60 x 90 cm
Sao Sreymao, Under the Water (Try to live), 2018, Digital C-Print, 60 x 90 cm
Sao Sreymao, Under the Water (Village house), 2018, wax and clear glass
Sao Sreymao, The Pressure, 2018, live performance
1993年、カンボジア・プノンペン生まれ。プノンペンのSETECインスティチュート、デザイン科を卒業。プノンペンのSa Sa Art Projectsでアート・クラスを受講。短編映画を制作し、オンライン・フォト・ストーリー「Human of Phnom Penh」を配信する若手アーティストグループ「ホワイト・ビルディング・コレクティブ」の一員であり、活動的メンバーです。最近は舞台デザイナーおよびアートディレクターとして、テレビ番組やドラマ映画に取り組んでいます。写真、映画、彫刻、インスタレーション作品を制作し、彼女の作品は経済、環境、社会的な問題を提示しています。続きを読む>>
アーティストインタビュー:
Cambodian artist, Eng Rithchandaneth (Installation/Photography/Video)
カンボジア・プノンペンのスタジオで作品について語るEng Rithchandaneth
Eng Rithchandaneth, Root, 2019, installation, variable dimension
Eng Rithchandaneth, Inside Out, 2016, unfired clay, dimensions variable
Eng Rithchandaneth, Destroy, 2015, single-channel video with sound, 4’29”, looped
Eng Rithchandaneth, 101, 2015, unfired clay, dimensions variable
1988年、カンボジア・プノンペン生まれ。コンピュータサイエンスと会計監査学の分野を卒業しましたが、2013年に写真に転向。写真、動画、パフォーマンス作品に取り組んでいます。Kanelの芸術実践は、個人の物語、環境、経済、社会的な問題に焦点を当てています。彼のパーソナルな作品は、類似する問題を経験した他者に共振するような、家族の喪失による抑鬱や脆い感情を表現しています。またその作品は、立ち退き、底地権、汚染(水、大気、騒音、光)といった問題を含む、都市化や環境悪化によって引き起こされる社会的抑圧、社会的正義、人権に関係する要素も持っています。
Khiev Kanelの作品は、カンボジアや地方で広く展示されています。続きを読む>>
アーティストインタビュー:
Cambodian artist, Khiev Kanel (Photography/Video/Performance/Installation)
カンボジア・プノンペンのスタジオで作品について語るKhiev Kanel
Khiev Kanel, Pineapple Eyes, 2018, photos and videos installation, variable dimension
Khiev Kanel, Bricks, 2018, Digital C-Print, 60 x 90 cm
Khiev Kanel, Before the Raze, 2017, Digital C-Print, 40 x 60 cm
Khiev Kanel, The Burden, 2017, live performance
“Generation in Transition: Changing Practice Cambodian Contemporary Art”
「移行期の世代:変化する実践 – カンボジア現代芸術」
キュレーター
Chum Chanveasna
サポート
Mekong Contemporary Art Foundation
One Asia Lawyers