Exhibitions
Bangkok Art and Culture Centre
Nov 23, 2019 - Mar 01, 2020
2019年11月23日〜2020年3月1日、バンコクのBangkok Art and Culture Centre 7F、8Fにおいて、東南アジアのアーティストを中心としたレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスセクシュアル、クィアの創造の歴史を探求する展覧会”SPECTROSYNTHESIS II – Exposure of Tolerance: LGBTQ in Southeast Asia”が開催中です。同地域最大規模の58人のアーティストによる作品を公開した展覧会についてご紹介します。
SPECTROSYNTHESIS IIは、2017年に台湾のMOCA Taipei(台北当代芸術館: Museum of Contemporary Art Taipei)で発表され高い評価を得た ”SPECTROSYNTHESIS – Asian LGBTQ Issues and Art Now” に続くSunpride財団による展覧会です。社会的にも取り上げられている性的嗜好や性同一の違いが引き起こす可能性のある社会的な緊張について、キュレーターであるChatvichai Promadhattavediは、こうした問題への対話のために強力なラインナップを選出し、 境界がどのように変化し、社会的な枠組みが開かれ、確立された規範と価値が疑問視されているかを浮き彫りにします。
東南アジアのアーティストと、インド系および中国系のアーティストをフィーチャーしたこの展覧会は、LGBTQコミュニティの受け入れの背景と文化的および宗教的伝統のるつぼである東南アジア地域での開催ということで非常に注目されている展覧会です。
初日の11月23日には「LGBTQの舞台裏」と題し、キュレーターとアーティストによるLGBTQに関連した経験、視点、作品についてのトークが行われました。トークは社会的文脈、文化の違い、好みの多様性、性同一性など現在発生している複雑な関係性を取り上げています。
ジャカイ・シリブトル(タイ)
キルトプロジェクト
2019
思春期の痛みを不滅のものとするために制作された各2メートルにおよぶ3つの織物のインスタレーション作品。画面に見られる幾何学的なモチーフは、かつてナチ党が同性愛者を特定し恥をかかせるために使用していたピンクの三角形で、現在ではゲイコミュニティの誇りのシンボルとなっています。
アン・サマット(マレーシア)
コヌムドラムカソルガ(天国へ)
2019
織物芸術の先駆者であるマレーシアの芸術家アン・サマットの作品。
トレードマークである両性具有の彫刻と織物素材で作られた長さ3メートルの虹色の列車は、上部は色鮮やかな色彩ですが、下は黒く暗い単色となっており、上下の対比が不均衡を暗示しています。LGBTQコミュニティがフェニックスのように灰から立ち上がることへの欲求を明らかにしています。
クリサダン・インタソン(タイ)
Opal’s World
2019
クリサダン・インタソンによる絵画インスタレーション作品は、アーティストの内面と外側を表しています。立方体の外側は、彼がどのように世界に自分を提示しているかが伺えます。内部は心の深いところに生きている彼自身が描かれています。
アヌワットアピムコンゴン(タイ)
No Strangers? (Dialogue with Egon Schiele series)
2019
想像上の自分とオーストリアの有名画家エゴン・シーレ(1890-1918)との相互作用。この絵画のキャラクターはイスラム教徒の両性愛者です。歪んだ裸体を使って、人々が自由に考える機会を否定し、アイデンティティや性別の役割などに影響を与え、差別的な行動へとつながる物語を説明し、議論を繰り広げます。これは創造主によって物語が決定される神話に似ています。
マイノリティの受容において重要な位置にある東南アジアのタイという開催地で、アーティストたちの力強いメッセージが集合した貴重な展覧会となりました。